谷川弘治
小児がんのこどもの教育を考える講演会に参加してきました
小児がん拠点病院である九州大学病院主催の講演会に参加してきました。演者お一人お一人の熱い思いが伝わって来る、とても温かな会でした。 臨床に入った30年前には考えられなかった取り組みですが、この間の医療関係者と教育関係者の努力が形になりつつあることに感慨無量です。九大病院院内学級の取組は,理想的な教育支援を展開してきていました。背景には福岡市内院内学級教師たちのネットワーク,そして個々の教師の熱意と熟練したスキルがあります。
高校教育についても大きな課題としてあげられていましたが,公私のサポートの選択肢が増え始めていること、子どもの要望から支援を始めることなど、新平鎮ひろ先生のお話に共感し,聞き入りました。
「全国の大学病院に院内学級を」という取組がすすんでいた頃に私たちが行った小児がんの子どもの教育に関する調査では「母親の積極的な行動があり,学校の裁量による応答によってQOLは高まる」という事実に注目しました。これは義務教育に関する状況ですが,今回の高校教育(正確には後期中等教育)に関しては「本人たちが要望を伝えることで,学校(教育委員会)による裁量を含めた取組が行われていった」と指摘されていました*。 とても面白いことです。
私たちは,ここで,「親が中心に動く状況から子どもが中心に動く状況に,いつ,どのように移行させていくのか」という,古くて新しい課題に行き着きます。この課題は,個別性が大きく理解が難しいものですが,医療と教育,福祉,労働が一堂に会することができる今だからこそ答えていくことができるように思います。そのことを含めての個別支援計画というものが考えられると,いっそうすばらしいですね。今回は,この個別支援計画については取り上げられていませんでした。
以上のように課題も一杯見つかりました。60を過ぎた私にも,まだまだやるべきことがありそうてす。いろいろ考えて参ります。
*新平先生は,裁量が行われていく事実の背景にある法制度を正確にみていくことで地域差を越えていくことができることを意図しておられました。あわせて記しておきます。
2018年8月18日に掲載したFACEBOOK記事を転載
